万雑 返還訴訟の判決結果が出ました。
これに関しては以前もこのブログでご紹介しております。
結果としては『請求棄却』。つまり原告の『不当に支払わされた万雑を返せ』という主張が認められなかったという事です。
この判決を一言でいえば。『地域コミュニティにおける慣習を重視』したと言えるのでは無いでしょうか。
確かに原告が主張される通り、『住んでもいないのに』良く分からないおカネを払わされるのはイヤなものです。
しかし、実際にその地域コミュニティを維持管理する為に必要な制度として『万雑という慣習』が生まれたわけです。
『慣習法』などという言葉もありますからね。
ちなみに。私が好きな言葉でこういうのがあります。
とはいえ、慣習なら何でも許されるわけではありません。許されない慣習もあるわけですよ。
たとえを出すのは憚られますが、日本でも古来、『現代では絶対に許されない』色んな『恐ろしい風習・しきたり・因習』があったでしょう?
しかしそれらは、時代を経てどんどん淘汰されていきました。最近話題になった優生保護法の件もそうかも知れません。現代では決して許されない事が、過去にはフツーにありました。
そう考えると。
万雑という慣習は今に至るまで淘汰されていません。つまり万雑は現代においても『不法性が認められるような慣習ではない』と判断されたのでは無いかと思っています。
『何に使われているのか良く分からないのに?』とか『農家じゃないのに?』といった細かい話もありますけどね。しかし、その辺を踏まえて考えても違法な慣習とは言えないって事なんでしょう。
今後、どうなっていくかは分かりませんけどね。
時代が変われば慣習も変わり、慣習が変われば法も変わります。つまり、法は後追いに過ぎないって事です。
という事で。
以上が万雑返金訴訟に関する後追い記事でしたが、今回の万雑訴訟が『自治会』そして『地域の慣習』というものを考えるに当たって大変有意義なきっかけとなった事は間違いありません。
原告の方が今回の問題提起をされた事に対し、心から敬意を表します。
※今回の訴訟はあくまでも『万雑の返金と慰謝料の請求』を行ったものであり、『万雑そのものの違法性』を訴えたものではありませんでした。なので、また違うアプローチで争えば、また違う判決が出る事もあるのでは無いかと思います。
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初めから払わなかった場合、その自治会が請求訴訟を提起した場合、裁判書はどう判断するのか興味があります。今後、原告の方が万雑金を払わているかどうかが気になります。原告の方が控訴されたのかのも気になります。
その後、原告の方がどのようにされているかは分かりませんが・・・
弊社30年の経験だけでいうと『自治会が実際に請求訴訟を起こした』という事例に当たった事はありません。ですので『恐らくこうでしょう』というコメントしか出来ないのですが、『自治会に入っていた場合は』その請求訴訟は通る可能性が高いのではないかと思います。任意団体とは言え、その団体に入っていた以上は一種の契約関係にあった(自治会は地域の色々な管理をする・自治会員はその為に必要な会費を払う)と言えると思いますので、規約などでしっかりとした請求根拠が分かり、被請求者の方が『自治会員である(自治会員であった)』のであれば、裁判所は自治会側の請求を認めざるを得ない可能性が高いのでは無いかと思います。
一方、自治会自体は任意団体なので、『そもそも入っていない・ある時点で退会した』という事も考えられます。そうであれば、それは『自治会員では無く、支払い義務も無い』んですから、その場合は請求訴訟が認められる可能性は低いのではないかと思います。
自治会費は大抵の場合ちゃんとした『規約』があるんですが、一方、『万雑』はあまりそういった物を見た事がありません。なので、万雑の請求が認められるというのは中々『法的には』難しいのでは無いかとも思っております。
いずれにしても上記は私の空想上の結論です。原告様、あるいては『もっと詳しい方』がいらっしゃったらコメントいただけたら大変嬉しいです。
土地に賦課されている賦課金だとすれば、空き家で住んでいなくても、払っていたお金を取り戻すための訴訟したが、裁判所は、認めなかった。しかし、なんか腑に落ちませんが。
今回の裁判例をザックリ言いますと『イヤイヤ払わされていたと言っても、脅迫とかで取られたわけじゃなく、あくまでもあなたが”任意で”払ってたんでしょ?万雑ってよくわからないけど、少なくとも今回はその正当性自体を争っているわけじゃないし(本当は原告様はこの部分で争いたかったようですが、原告様のミスでこの部分の訴えを取下げてしまったのだそうです)。じゃあそのお金を返せって言うのは違うよね』というようなニュアンスなのだと思っております。
原告様の方で詳細な内容がノートに綴られておりましたので、ご参照いただければ幸いです。
↓
敗因はオウンゴール
原告のサイトで確認できました。ありがとうございます。
原告は自治会の会員ではない。
原告は自治会費及びその他の寄付行為等一切の金銭を支払う義務を負わない。
として、自治会長個人でなく、任意団体の自治会を被告として、争う必用があったのではと素人ながら思いました。
自治会を被告として再提訴はできないのだろうか?
私も裁判に関しては全くの素人ですので細かい部分は分かりませんが、今回の判例を振り返る限り、正にご指摘の通りなのでは無いかと思います。また、この点につきましては原告の方も認識していらっしゃるようですので、それを踏まえて次の戦略を考えておられるのではないかとも思います。とはいえ、弁護士費用や訴訟継続の精神的・時間的負荷を考えると、争いを継続させるのは中々大変なような気もしています。
原告のサイトでは、万雑金の明細が、表示されていますが、法的に問題はないのでしょうか?原告は、当初から、勝ち負けで争ったのでなく、このような現状を世の中に知らしめるために、自治会が悪者として、提訴したのではと勝手に推察しています。チューリップテレビが報道したことで、原告の勝利ではないかと。原告がテレビ局に情報提供したのでしょうか?気になるところです。
大変不勉強で申し訳ないのですが、『サイトで万雑金の明細が表示されているが法的に問題はないのか?』という点は私には判断が付きません。ただ、原告の方の想いとして『このような現状を世の中に知らしめるために提訴した』という点については私もそのように感じています。情報提供についても私に詳細は分かりませんが、『提訴の段階で』地方新聞数紙に掲載され、『判決後に』チューリップテレビからの取材申し込みがあったようです。
いずれにしましても。山田さんのように『こういった問題に興味関心を持ってくれる人』を増やしたいというのも原告の方の目的の一つだったと思いますので、裁判においては『完璧に敗訴』されたわけですが、『単なる負け』では無いとも思っております。