富山県で不動産業をやってると。「まんぞ」の話が絡んで来ます。
なんのこっちゃ・・・と思いません?
まんぞ。
まんぞう。
まんぞうひ。
漢字で書くと「万雑」です。意味合いとしては「よろずの雑事」みたいな感じでしょうかね。
このまんぞ、歴史は古く、平安時代に遡るそうです。万雑公事(まんぞうくじ)といって「荘園における租税の一種」だったんですって。ホンマかいな。
簡単に言うと「年貢以外の雑税を言う」んですって。本税が年貢(コメ)ですから、その他の雑多な納税物の総称らしいです。
年貢”以外”って・・・。結構間口が広いですね。「なんでもアリやん」という。
そして「税金」と言っても・・。荘園って事は、貴族に払ってたわけでしょ?なんだかなあ・・・ですよね。
貴族が受け取って、本当にその地域の為に何かしたんですかね?貴族の豪華な食事とか遊びに使われたってのが実際の所じゃないんでしょうか?どーせ貴族は庶民の事なんて考えてないんでしょ!?
・・・
すみません。
1000年に及ぶ私の「庶民DNA」が貴族に対して怒りを催しています。
さて。
話を戻しますがこの「万雑」。富山県の一部地域と石川県の若干の地域で「地域の慣習として」綿々と続いています(注:その後読者の方からコメントをいただいて新潟県にもあるという事が分かりました)。
私の経験上ですが、年末に集められている事が多いです。金額は地域でバラバラですし、なんなら「その家その家でも」違う事があります(敷地面積などで計算される)。
ちなみに以前、私の義母がこの「万雑」を集金する係になった時、世界展開の超有名一流自動車メーカーの展示場に「万雑下さい」と言いに行かされてしまった事があったそうです。
しかも、その地域は『敷地面積に応じて』万雑額が決められていたんです。クルマの展示場ですからね。デカいですよ。と言う事でバカ高い万雑費を請求に行ったんですが・・・
相手の会社からは「そんなもん知らん!」と激高して追い返されたそうです。
そらまあ、突然行ったらそうなるでしょうな・・・
しかし。
その地域に共生するからには、なんだかんだ「雑事」という事はあります。特に農地だとそうですね。そして、万雑の大きな理由として「水路を管理する」というのがあります。
田んぼに水を引く水路、生活用水を流す水路。その水路の管理費みたいなイメージです。
「そこに住んで、この土地の恩恵を受けているわけだし、コメもこの国に無くてはならないもの。水田だって”そこにあるから”地域全体の保水力も高まって、豪雨の時も住民に被害が及びにくいわけです。
「だから是非協力して下さいね」という理屈だと私は受け止めています。
日本のコメ作りはやっぱり大事ですよ。食料自給率の話もありますし、遊休耕作地の問題もあります。私は農家の皆さんには本当に頑張っていただいていると感謝しております。美味しいお米をありがとうございます!
という事で、私自身は万雑に協力を惜しまない積りなんですが、中には「何故そんなモン払わないといけないんだ!」という方がいらっしゃるのも事実です。
私は思うのですが。
「まんぞう」というネーミングが良くないんじゃないですかねえ?普通に「町内会費集めに来ました!」と言われたら
「そうですか、ハイハイ」となると思うんですが
「まんぞう集めに来ました!」と言われると
「それ何!?!?」と思ってしまいますよね。
という事で「そういうのもあるんだ」という情報提供でした。
こんな感じで、不動産取引は不動産の専門知識だけではなく『地域の慣習』なども重要になってきます。
なかなか難しい話も多いと思いますので、ご自分だけで判断せず、専門家にご相談下さいませ。
4 件の投稿
万雑費についてよく分かりました。我が家にも集めにこられます。
何かと思ってました。
家の裏に用水があって、その用水を使っているからだとか….万雑費?何のこっちゃ!と思ってましたが、分かって良かったです。
多少なりともお役に立てたのであれば嬉しい限りです。『平安時代から続いている』というのが本当であればその歴史は『1000年に及ぶ』わけですから、馴染んでいる方からすれば『当たり前すぎる』イベントなんですけども、そうじゃない人間からすれば「何のこっちゃ!?」ですよね。
本文にもある通り、地域全体の為に役立つお金ですので、快くご協力いただければ幸いです!
新潟市西蒲区でも、今も普通に使われています!
そうなんですね!情報ありがとうございます!!
新潟県も富山県もいわゆる『越国(高志国=こしのくに)』ですからね。
つまり、仲間です。今後ともよろしくお願い致します!