先日、あるきっかけで知った言葉に、ハッとさせられました。
「こんなに少なくなってしまった家族に、この家は大きすぎる」
語ったのは、コジモ・デ・メディチ。
ルネサンスの時代、イタリア・フィレンツェで巨大な銀行を築き、町ごと芸術で満たした稀代の実業家です。
しかしこの人、ただの金持ちじゃないんです。
戦を避け、文化を育み、派手な振る舞いを嫌い、家族と静かに暮らすことを望んだ男。
その姿勢、どこか“日本的な美意識”すら感じます。
そんなコジモですが、晩年に漏らしたのが――
この「家が大きすぎる」という言葉でした。
華やかな功績を残した人が、最後に思ったのは“家の大きさ”ではなく、“家族の小ささ”だったというのは、なんとも深い話だと思いませんか?
家は「器」。大切なのは「中身」。
家づくりや家選びをしていると、どうしても「広さ」「性能」「デザイン」に目が行きがちです。
それももちろん大切ですが――
一番忘れたくないのは、「その家に誰が住み、どう生きるか」ではないでしょうか。
わたしは日々、中古住宅の買取と再生に携わっています。
新築ほどの見た目はなくとも、そこには「人に寄り添う器」があります。
「この家、ちょうど良いね」と言ってもらえることが、何より嬉しいです。
家が主役じゃない。
住む人が主役。家は、その人を支える器。
この考え方こそ、わたしが中古住宅にこだわる理由のひとつでもあります。
そして、最後に。
「人中心の暮らし」と「家中心の暮らし」、その違いに気づいた時、
選ぶ家も、暮らし方も、きっと変わってきます。
そして、ふとした時に
「この家で良かった」と思える瞬間が増えていく――
そんな暮らしを、コジモのように、静かに豊かに歩んでいきたいものです。
気になる方は、“メディチ家 歴史”などで検索してみてください。
私もこの時代のこと、そして何よりコジモという男に興味を持ち、今まさに勉強中です。
和のコジモを目指して、日々精進してまいります。
コジモのように大金持ちにはなれずとも――
家を再生することで、まちを再生し、人と人の繋がりを再生することは、
私にも、きっと出来るはずですから。
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