本日は、家具研究家・デザイン研究者である 織田憲嗣 氏の話から、改めて「家づくり」について考えてみたいと思います。
織田氏はご存知ですよね?ご存知なければ是非一度この動画をご覧ください。
この中で織田氏は「総建築費の1割は、家具や照明など内部空間のために残しておくべき」
という趣旨の話をされています。
「確かに!」と私も思います。
しかしこれは、単なる「高い家具を買いましょう!」という話ではありません。
そうではなくこれは、
「建物だけに全てを注ぎ込むな」
という警告なんですよ。
実際私も、長いこと住宅業界にいると、様々な「破綻」を見ています。
立派な新築住宅に住まわれながら、資金繰りに苦しんでいく方。
住宅ローンに追われ、ブラックな職場に取り込まれていく方。
毎日の問題に追われるうちに、ご家族そのものがバラバラになっていく方。
逆に、古くても、身の丈に合った住宅で穏やかに暮らしているご家庭も多々あります。
もちろん、中古住宅を購入して破綻する方も、現実にはいらっしゃいます。
ただ、ここで大切なのは。
人が暮らすという事は、家だけで考えるものではないという事です。
例えば、家だけに全振りして物事を考えてしまうと、
・家具
・照明
・外構
・カーテン
・庭
・趣味
・旅行
・教育費
・老後資金
など、「暮らし」の部分に余裕が無くなっていきます。
すると、家は立派に完成しているのに、生活自体が貧しく、苦しくなる。
これでは本末転倒です。
そして、本当に恐ろしいのは、
・ちょっと古いこと
・ちょっと寒いこと
・ちょっと不便なこと
なんかではありません。
一番恐ろしいのは、
「もう取り返しがつかない」
状態になることです。
住宅ローンも、暮らしも、結局最後はキャッシュフローです。
毎月、ちゃんと回るか。
何かあった時、しっかりと耐えられるか。
人生というのは、
・転職
・病気
・教育費
・介護
・家族関係
・自然災害
・事故
・社会情勢の変化
などで、いくらでも状況が変わります。
そしてこれは、会社経営も全く同じです。
利益が出ていようと、周囲から多少評判が良かろうと、「お金が回らなくなったら」終わりです。
私は経営者になって、その現実を何度も痛感してきました。実際にお金が回らなくなってしまった方も、何人も見てきました。
だからこそ。住宅においても、
「どちらがお得か」
という議論よりも、
「どうすれば破綻しにくいか」
という議論が大切なのではないかと思っているんです。
中古住宅にも、もちろん欠点はあります。完璧ではありません。
しかし、
・借入額を抑えやすい
・色々手を加えられる
・住み替えもしやすい
という「余裕」があります。
私は、この“余裕”こそが、暮らしにとって非常に重要なのではないかと思っています。
そして、先述した織田氏の話も、結局そこに繋がっている気がします。
家具や照明に予算を残すというのは、単なるインテリア論ではなく、
「暮らしに余白を残しておく」
という事なのではないでしょうか。
人生は変わります。
価値観も変わります。
「これこそ理想だ」と思って建てた家でも、数年後には感覚が変わることは普通にあります。
だからこそ、
・あとから直せる余裕
・住み替えられる余裕
・まあこれで良かったと思える余裕
を残しておくことが大切なのではないかと思うのです。
そして、絶対に忘れてはいけないことがあります。
それは、
住宅ローンや資金繰りに苦しみ、暮らしが壊れてしまった方々も、決して「特別な人」ではないということです。
多くの方は真面目に、一生懸命ご家族の幸せを願って、頑張って家を建てられた方々です。
だからこそ、私たち住宅に関わる人間は、
「もっと借りられますよ」
「今しかありませんよ」
「一生に一度の事ですから」
という殺し文句ではなく、
「この家は、この方々にとって、本当に価値ある家になるんだろうか?」
という視点を持たなければならないのだと思うんです。
住宅というのは、人の一生を支える器です。
だからこそ私は、住宅業界に生きる一人の人間として、これを提言します。
「完璧な家を売る」のではなく、
「破綻しにくい暮らし」を提案しましょう。
と。
もう、金儲けの為だけの家づくりはやめましょうよ。
誰も共感してくれないかも知れませんが、幸せに住み続けていただける人あっての
「家」
なんです。
私はこの(自分なりの)真実を、今後も大切にしていきます。

















