昨日、魔女の宅急便が放映されてたようで。ちなみに魔女の宅急便が上映されたのは1989年。私が13歳の時です。
13歳ですよ?
『それが何か?』と思います?大ありです。魔女宅の主人公『キキ』も同じ13歳だからです!
なので。男女の差はあれど非常に感情移入して観ていた記憶があるんですよ。
あの映画のテーマは『思春期からの独立』なのか『人間としての成長』なのか、その辺は知りませんが、一つには『仕事』というテーマがあると思います。
13歳って中学生ですからね。仕事ってものはもう、当時の私にとっては『自分の想像を超えた先』にある世界だったんですよ。『怖い』とも思ってました。
で、仕事という事で考えると。キキはタイトルの通り『宅急便』の仕事を始めるんですが、そう簡単なもんじゃないわけですよね。
モノを運ぶという実務ではトラブルが発生(運んでいるぬいぐるみが落下)するし、『全くお客さんが来ない』という集客の悩みもありますし、『暮らすって物入りね』と言って、生活費の問題にも直面しています。
しかし、中でも特に印象的なのが『にしんのパイ事件』です。やたら豪華な場所でキレイな服を着てパーティをしている、あのご令嬢のエピソードです。
めちゃくちゃ美味しそうなビジュアルの『にしんのパイ』を散々苦労して届けたのに『わたし、このパイ嫌いなのよね』と、切れ味抜群の捨て台詞でキキの心を一刀両断にした、あのご令嬢の話ですよ。
一刀両断どころじゃないですね。ズタズタにしてます。
ニシンのパイについては。
本来の仕事である『運ぶ』というだけじゃなく、かまどを準備する所から手伝って、プライベートのデートも犠牲にして、悪天候の中、散々苦労して運んだわけです。
しかし、苦労の末に運んだ先で喜んでくれるかと思いきや、まさかの『わたし、このパイ嫌いなのよね』発言。
苦しい。
こう書いている時も、キキの心中を思うと泣けてきます。特に、今だと『もしも、こう言われてる相手が私の娘だったら・・・?』という親としての感情が重なってくるので尚更です。
ただ、仕事ってそういう一面もありますよね。
とは思います。
私も、不動産業なんていう仕事をしていて、100%相手に喜んでもらえるとは限りません。『わたし、この物件嫌いなのよね』と言われる事はさすがにありませんが、似たような事は色々言われます。
で。
さっきのキキのケースで言えば、キキは全く悪くないわけです。避けようがありません。言ってしまえば、そもそもあのお祖母ちゃんが『プレゼントの選択をミスった』というのが問題なわけです(とっても上品で、とっても素晴らしい人格者なんですが)。
何を言いたいのかというと。『自分が全く悪く無くても、お客さんから文句を言われる事はある』という事です。とっても残念な事ですが。現実として、そりゃありますよ。
『いや、それを私に言われても・・・』と反論したい所なんですが、良くある事ですし、お客さんはお客さんで『誰かに不満をぶつけたい!』という気持ちになるのも良く分かります。
『いや、そう言われましても・・・』という反論をぐっと腹の中に飲み込んだり、受け流す事が出来れば、仕事人として『かなり上のレベル』と言って良いでしょう。大人と言い換えても良いです。なのであの瞬間、キキはめちゃくちゃ傷ついたでしょうけど、非常に『大人だった』と思うんですよね。
思った事をそのまま口に出してしまう、『例のご令嬢』とは比べ物にならないくらいに。
しかし、飲み込んだ方は堪ったもんじゃありません。毒と一緒ですよ。あれでキキは大ダメージを受けて寝込んでしまってますからね(雨のせいもありますが)。
言葉ってのは、薬にもなれば毒にもなります。
生きていれば誰しも『ありがとう』という言葉が欲しい所なんですが、そう言われない事も、また良くあります。そりゃそうですよ。
なので。
相手に『ありがとう』を期待しちゃイカンのと同時に、自分は常に『ありがとう』と口に出すべきなんだろうなと思った47歳でした(あと6日で48歳)。
あれから35年。私も、ようやく少しは成長した、の、かも知れません。
こんなブログをいつもお読みいただき、本当にありがとうございます!