三協立山が、150人の希望退職を募集。17年ぶり、業績悪化を受けて。という報道がありました。
三協立山といえば、我らが高岡市を代表する東証プライム上場の建材メーカーです。
地元では知らぬ者のいない企業でしょう。
原材料価格の高騰。
少子化による住宅需要の減少。
賃上げ圧力。
そして利上げ。
これらすべてを同時に背負わされる時代です。
正直なところ、「そりゃそうでしょ」と思わざるを得ません。
三協立山ほどの大きな会社ですらこの状況です。
今後、同様の動きは確実に増えていくでしょう。
今回、私が最も気になったのはここです。
希望退職の対象者は「50歳以上65歳未満の正社員」。
なお、この「50歳以上」という基準は
「今年5月31日時点」とのこと。
もし私が三協立山の正社員だったとしたら――
なんと、きっちり対象者です。
そしてこの一文を読んだ瞬間、
私は不動産業者として、あることを考えました。
現在も、建築費は高騰を続けています。
今や「まともな新築住宅」を建てようとすれば、最低でも4,000万円。
実際、私の周りでも
5,000万円以上の住宅ローンを組んで新築を建てた方が相当数いらっしゃいます。
50年返済で。
では、今回の三協立山のケースでこう考えてみましょう。
仮に、30歳で新築を建てる。
そして50歳で、希望退職に手を挙げる。
このとき、何が起きているか。
住宅ローンは、まだ30年残っています。
仮に
・借入5,000万円
・返済期間50年
・金利を平均1%
とすると、
50歳時点のローン残高はおよそ3,200万円。
50歳で職を変え、
3,200万円の負債を抱え続ける。
毎月の返済額は約10万5,000円。
……正直、かなりヘビーです。少なくとも私ならイヤです。怖いですし。
だからきっと、こう思うはずです。
「退職(転職)なんて、絶対にしたくないな」と。
しかし、もしこの時点で
・すでにローンを完済している
・あと数年で完済できる
・返済は続くが、月5万円程度
という状況だったらどうでしょう。
同じ「50歳の転職」でも、
見える景色はまったく変わってきます。
ここで、私が伝えたいことは一つです。
過大な住宅ローンは、人生の選択肢を著しく狭める。
これは感情論ではなく、
数字が示す、極めて現実的な話です。
「20年後、もし苦しくなったら家を売ればいい」
そう思われる方もいるかもしれません。
では、こう問いかけさせてください。
築20年の中古住宅を、あなたなら3,200万円で買いますか?
そして、仮に運よく売れたとしても――
その後何十年も、どこに住むのでしょうか。
50年ローンは、
「毎月の返済額を抑えられる」という点では、確かに優れた商品です。
これまで新築に手が届かなかった人に、
「新築という選択肢」を与えてくれる。
そういう意味では、とても“優しい”仕組みに見えます。
しかし。
50年という時間は、あまりにも長い。
その間に、
どんな荒波が訪れるかは、誰にも分かりません。
最後に。
「整える」とは、
今を快適にすることではなく、
未来の自由度を残すことだと、私は考えています。
住まいは、
人生を縛るためのものではない。
以上、
自分自身が希望退職者の年齢に当てはまっていると知り、
少しショックを受けている――
ある不動産業者の、単なるたわごとでした。
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