数日間、寝込んでおりました。目をつむってもなかなか眠れない時間、私にできることは読書くらいしかありません。 というわけで、朝井リョウさんの長編小説「生殖記」を読みました。めちゃくちゃ読みやすくて面白かったです。そして何より、深く考えさせられました。
内容は、ほとんどの方が既読でしょうから、隠さずにお話しします。 読んでますよね? なら良かった。
「生殖記」のテーマは「非生産性」?
この本の一番のテーマは、タイトルにある「生殖」ではありません。むしろ逆、「非生殖」、つまり**「何も生み出せないこと」**へのアプローチです。
作中ではいわゆる一般的多数派の「異性愛個体」と対比して「同性愛個体」である主人公が描かれていますが、これは単なる性の話に留まらないと私は感じました。
現に、私自身の状況に置き換えてみると。
先週は「会社改装」、そして今週は「体の不調」という名目で、仕事を一切しておりません。これはつまり、私は先週と今週、**「何も生み出してない人」**という事になります。
また、私は大学を出てから丸3年間、まともに仕事もせず勉強もせずで、その時期も「何も生み出して」いなかったわけです。
「あれ?私と主人公って、状況は違えど『非生産者』という点で同じじゃないか?」
そんな思いを持ちながら「生殖記」を読み進めていました。しかし主人公の悩みは、私などとは比べ物にならないほど重い。なぜなら、「生殖」という、人類、いや、生物の根幹に関わる部分で**「自分は何も生み出せない」**と思い悩んでいるからです。
成長・拡大・発展の呪い
しかしこの主人公、私からすると非常に頭の良い**”個体”**(生殖記らしく書いてみました)で、その辺の悩みを受け入れ、消化し、少しずつ昇華していきます。
とまあ、「私は」そう感じたというだけで、他の方はまた違った解釈があると思います。なんせ、朦朧とした意識の中で一回だけサラーっと読んだだけですからね。解釈の偏りはご容赦ください。
ちなみに、この「ご容赦」というのも何だかよく分からない概念なんですけどね。なんで許して貰わないといけないのか?という。この辺も、共同体や個のテーマを扱う「生殖記」に通じる部分があるかもしれません。
この本は、他にもアドラーの**「共同体感覚」へのアンチテーゼや、近現代社会の「成長・拡大・発展」モードへの疑問**など、一種の哲学書のような部分も多々あります。
それでも文体が軽いので非常に読みやすいんです。例えるなら、**「異生物との共同生活の中で世の中をサバイブしていく」**という構造の物語に近い。
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ドラえもん(のび太とドラえもん)
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寄生獣(新一とミギー)
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夢をかなえるゾウ(主人公とガネーシャ)
これらの作品は**「異生物との対話」**によって過酷な実社会をサバイブしていく物語なわけですが、『生殖記』では対話がありません。主人公が一人で考え、一人でサバイブしていきます。しかし、同じような「読み応え」と「面白さ」があります。
どういう事かは、読んでいただければすぐ(1分で)分かります。
てことで、もし読んでおられない方がいらしたら是非。既に読んでおられる方がいらしたら、折を見て対話いたしましょう。
今日の富山は雪です。こんな日は、何も生み出すことなく、読書だけしていてもいいんじゃないでしょうか?ねえ?
という、非生産者組合代表(自称)である私からのメッセージでした。あんまり張り切らず、のらりくらりとサバイブしていきましょう!
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